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最高裁判所第二小法廷 昭和33年(オ)61号 判決 1960年3月18日

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人高橋義一郎、同伊沢英造の上告理由第一点について。

原判決が所論の訴外会社が本件当時食品衛生法による許可を受けて食肉販売業を営んでいたこと及び自衛隊に対し精肉の納入をしたのは同訴外会社であることを認定判示していることは所論のとおりである。しかし右事実があるからといつて、必ずしも本件売買の買主が右訴外会社であると認定しなければならないものというを得ないから、原判決には所論の違法は存しない。所論はひつきよう原審の専権に属する事実認定を非難するに帰着し、上告適法の理由となすを得ない。

同第二点について。

本件売買契約が食品衛生法による取締の対象に含まれるかどうかはともかくとして同法は単なる取締法規にすぎないものと解するのが相当であるから、上告人が食肉販売業の許可を受けていないとしても、右法律により本件取引の効力が否定される理由はない。それ故右許可の有無は本件取引の私法上の効力に消長を及ぼすものではないとした原審の判断は結局正当であり、所論は採るを得ない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 小谷勝重 裁判官 藤田八郎 裁判官 池田克 裁判官 河村大助 裁判官 奥野健一)

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